青鳥のコラム 雑貨編 バックナンバー
少女と共に夢はせた“文化人形”
2016-01-14 (木) [雑貨]
さすがに文化人形と聞いて「懐かしい!」と声を上げられるのは、60歳代以降の女性の方々でしょう。
かつて少女の遊び相手であった“文化人形”は戦前より日本の輸出産業を支えた一つであり、また戦後は進駐軍の手頃なお土産としてもてはやされました。
今のようにリカちゃんやバービーなど幾多の女児玩具が無かった頃、高額商品であった文化人形を買えたのは、富裕層を中心とした姉妹達でした。それは少女の大切な遊び相手であり、夢を語り合うお友達でもありましたが、同時に輸出品として貴重な外貨を稼ぎ、日本人の生活を支えた『孝行娘』でもあります。
文化人形は大きなボンネット帽に、赤い洋服がトレードマークで、一体づつ手描きされた大きな目をした愛らしい表情で少女のハートを掴みました。その赤い服は子供の成長を願った“魔除け”の親心であり、母親が出征する息子に、無事を祈り身代わりとなるよう渡された人形でもあります。
戦後、フランス人形と勢力を二分した文化人形も、高度成長が始まった昭和30年代中頃には、徐々に姿を消しその使命を終えました。流行り廃り、産業の変遷、思想の変化など、たえず世の中は動いています。「歌は世につれ、世は歌につれ」のごとく、時代の雰囲気を敏感に捉えなければ、時代に取り残され、衰退して行きます。
私達の日々の仕事も同じで、安住していては新しい流れに取り残され、さりとて“ファースト・ペンギン”(一番乗り)ではリスクが大きく容易に勧められません。程よいバランス感覚が求められる所です。
占い鑑定を通して世の中の変遷を知る事も出来ます。お客様には性格や運勢、仕事運の時期などお伝えしますが他力ばかりで無く自力も必要だと思います。そして自らの努力で、より良き未来を切り開かれますよう願うばかりです。
掲載した文化人形の写真は、先輩達が苦労して通って来た時代へのオマージュであり、そして21世紀の私達へ“昭和の心を伝える語り部”として制作しました。
このポワンとした長閑な表情を見て、ホッとした一時を共有できれば幸せです。
そして掲載された文化人形は、良い人のところへ無事嫁入りいたしました。
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